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CREATING THE NEXT FOOD CULTURE
ブドウの葉から始まった、次代の食文化づくりを
~北海道TEA(ティー)~
THE CROSS STORY ~出会い~
想いを叶え続けていく人たちと、そこにつながる“もの”や“こと”から生まれる、新しい体験との出会いを。
人と地域が物語る、心を動かされるたくさんの体験を。
クロスホテル札幌で。
何てきれいなんだろう。どんな味がするんだろう。ブランドの立ち上げとPRを担ったワイナリーの畑で出会った、ブドウの新芽や葉。土に還される運命にあるこの葉が、ブランディングの世界で活躍するクリエイティブプランナー 赤坂若菜氏の仕事に新風を吹き込んだ。クロスホテル札幌でも扱うワイン用ブドウの葉のお茶は、彼女らの手でゼロから生み出した商品で、ブランドとして育てているものだ。自身の仕事を進化させ、深化させるためにも、一度やってみたかったというものづくりへの思いを叶える、長い挑戦が始まっている。
北海道の醸造用ブドウの葉をお茶に
WEBサイト制作などブランディングの一連の仕事を依頼され、何度か畑にも通っていたという余市町のモンガク谷ワイナリー。ここで赤坂氏は、副芽を取り除いて樹勢の調整を行う「芽かき」やブドウのまわりの余分な葉を取り除く「除葉」という作業に遭遇した。そして、摘んだ葉を何かに活用できないか、天ぷらなどにしてもおいしいという話を聞いた。しばらく経ったある時、北海道の素材を活用したおみやげにもなるものを作れないか、インバウンド向けにも適した、日持ちがして軽量なものをと考えていると、あのブドウの葉のきれいなグリーンを思い出し、北海道の醸造用ブドウの葉でお茶を作っては、とひらめいたそうだ。「研究機関とつながりもあったので早速プランを持ち込み、試作していただいたんです。開発チームは年齢層も幅広い10名が在籍しているんですが、満場一致で面白い、商品化が期待できる味だとなり、すぐに商品開発がスタートしました」
ものづくりのすべてを経験すること
しかしそこから製法をはじめ、品種別や収穫時期別による味の違いなど、さまざまな実験が行われていった。その後、味の追求や安全性に関する厳しいテストなども重ね、商品リリースまで2年という時間を要した。「文系の私には本当にわからないことだらけの過程をいくつも乗り越えての商品づくりでした。途中でへこたれそうにもなりましたが、開発チームの皆さん、農家さんや地域の方々など、多くの人を巻き込んだプロジェクトになっていて。かたちにならないものに関わらせてはいけない、時間がかかっても必ずかたちにしなければならない、という思いで必死でした」と話し、商品が完成し、販売できた時には感無量だったと振り返る。
「一つの商品を生み出すことは、こんなにも大変なことなんだと。やってみなければわからないことを、いくつも経験できたことは大きな収穫になりました。やるべきことを確実に進め、それぞれの過程で起こる苦労や壁を目の当たりにして、商品づくりの難しさを身を持って理解しました。これらのことを、今後の仕事に活かし、もっともっと血の通った長きにわたるパートナーシップを築けるような存在になりたいと思っています」
ワインのように香る、黄金色の輝き
ブドウの葉のお茶というと、ハーブティーのような風味を想像するが、すっきりとした酸味を味わえることに驚く。もちろん無香料だが、ワインのように香る。「ハーブティーでも日本茶でも紅茶でもない、ブドウの葉のお茶、なんです。新ジャンルと言ってもいい味で、私も最初に飲んだ時は驚きました。ワインを造るブドウの葉を使っているのでワインと同じような酸味があって、葉や茎の方がブドウらしい風味が少し濃いんです。製造工程で発酵もかけているので、奥深い味になっています」というお茶は、入れ方や温度で味わいが変わる。アイスティーをワイングラスで味わえば、さわやかで視覚的にも白ワインのよう。温かいとより香りや酸味が印象的で、豊かな風味が舌に残る。濃く出して料理の出汁に使ったというシェフもいるそうだ。飲むほどに新しい発見がある、味わい方にバリエーションがあるお茶は、食事やスイーツとのペアリングも期待でき、今までに経験したことのないお茶へのお客様の反応も興味深いと言う。
サスティナブルな食文化のひとつに
「歩みは遅くていいと考えています。ビジネスではありますが、どういう風に育てていくかが重要だと思っています。時代に合わせて変化もさせて、会社のメンバーでできることを、関わっていただいている方々皆さんが幸せになるプロジェクトにしたいんです」と赤坂氏。皆さんの努力の賜物と謙遜するが、2期目で黒字を達成している。「いろんな方に相談して、方法を模索して、協力をいただいて。人間関係があってこそです。葉の活用は時代的にも合っていて、SDGsにもつながりますが、今までに無かった仕組みを作るのは大変なことですよね」
葉を集める作業を農福連携で進めたり、一部の市町ではふるさと納税に採用されたりと、プロジェクトは地域活性へと広がりを見せている。さらにノンアル市場が拡大するという、追い風も吹いている。本業であるブランディングをゼロからかたちにした一連の流れは、ブランドブックにまとめ、ブランディングとはどういうことかをわかりやすく知ってもらうツールとして活かしていくそうだ。
「食べ合わせの提案なども含めて、より多くの方に味わっていただけるよう生産量を増やしたいです。地元素材同士のコラボレーションにも取り組み、北海道ティーが札幌や北海道の農作物への興味の入り口なれば」と赤坂氏。パッケージデザインは自然を思わせる青を基調にし、ロゴには北海道のフォルムと、三方よし、売り手と買い手が満足し、社会にも貢献できる良い商いを意味する理想を掲げて、彼女と仲間たちの挑戦は続いていく。
Profile
PATTERN PLANNING株式会社(パターンプランニング) 代表取締役 クリエイティブプランナー 赤坂若菜
タウン情報誌営業部を経て、2014年にPATTERN PLANNINGを設立。2018年に法人化。同年、事務所とカフェを併設した「tailor(テーラー)」をオープン。カフェでは、月替わりスイーツの中から人気となり商品化した「tailor CASSATA(カッサータ)」も話題。休日は調べて探した、おいしいものを食べ、飲みに出かけている。札幌市出身。